Vol.3(2020年3月号)

子どものころ、当たり前にあったさとうきび畑。

家でつくっていた黒糖を、もう一度食べたい、
子や孫にも食べさせたい。それがはじまり。

四国の真ん中、愛媛の東端にある四国中央市は「紙のまち」。紙や紙製品の製造に関わる企業は150社以上もあるといわれています。そんなまちで意外な地場産品に出会いました。それは黒砂糖。四国中央市の小さな食の雑貨店「まなべ商店」にちょこんと並んでいたのです。それが黒砂糖をめぐる旅のはじまり。誰が、どんな思いで黒砂糖づくりをしているのだろうか、原料となるさとうきび畑はいったいどこにあるのか…。
行き着いたのは、地域の食文化を継承しようと奮闘する人たち。案内された畑では、人の背丈よりも高く成長したさとうきびが、「ざわわ、ざわわ」とあの唄そのままの音を響かせています。その姿を眺める人たちは、まるで子どものような笑顔を浮かべていました。